第5号2016.05 | Oasis Heart(ニューズレター) | 夜間透析と透析 東京都北区の田端駅前クリニック

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Oasis Heart 2016.05


第5号 2016.05

院長のとっておきの話

“元気がでる透析医療のコツ”(その4)


田端駅前クリニック
院長 青木 竜弥
今さら聞けない水分管理の話

水分を調整するのではなく、塩分を調整することが成功への道

“透析では水分の管理が重要ですよ”と言われ続け、患者の皆さんも嫌になっているのではないでしょうか。

しかし、水やコーヒー、お茶といったものを制限することだけが水分の管理だと勘違いされている方を多く見受けます。ここで断言しますが、これは間違いです。

実は、水分は重要ですが、水分だけではありません。水分と塩分の間には密接な関係があります。普通の人でも塩分を多くとると喉が渇き、逆に水分を沢山摂取すると塩分が欲しくなります。これは、体が体内の塩分(ナトリウム)濃度を一定に保とうと働くために起こります。塩分をとれば、必然的に身体の塩分の濃度は高くなります。それを、薄めて一定の濃度にするためには、体は外から水分を入れようとします。

これは、あなたの意思とは無関係です。

逆に水を沢山飲むと、血液中のナトリウム濃度が低下し、塩辛いものが欲しくなります。このような現象は血液中の塩分濃度を一定に保つために人間の体が自然と行います。ですから、なかなか我慢することが難しいのです。

このことから、塩分摂取を控えることが実は水分摂取を抑制し、実質的な水分制限になるのです。

ここが重要なポイントです。

体重増加が多い場合は、塩分制限をしないとなかなか体重増加を抑えることができません。水分のみを制限するのは非常に苦痛で困難です。

ヒトは喉の渇きに合わせて水分を摂取するので、喉の渇きを起こさないようにすることが大切です。

通常の人の1日の塩分摂取量の目安は10gとされていますが、透析患者さんの1日の塩分摂取量は6gと厳しい制限がされています。ラーメン1杯に含まれる塩分が約6gであり、それだけで1日に必要な塩分を摂取してしまい、これ以上の摂取は体重増加につながります。このように塩分をうまくコントロールできれば、水分をコントロールすることはそれほど難しいことではありません。

つまり、塩分が成功の鍵ということなのです。

塩分を制して透析中の足つれや血圧低下などの苦痛からおさらばしましょう。

透析ナースのコラム

今日もお変わりありませんか?体が喜ぶ体操シリーズ(第2回)

目と足の血流をよくする

初回(第3号)でご紹介した体操は試していらっしゃるでしょうか?

さて、引き続き体を緩めるための部分的な体操も必要なので、今回はそれをご紹介していきますね。透析をしていると様々なストレスを抱えていると思います。「心」も「体」も…、これは、自律神経のバランスが崩れて不調が起こる大きい要因と考えられます。自律神経とは交感神経と副交感神経からなり、この2つがバランスよく働くことで、健康が保たれます。

しかし、透析治療を受けておられる皆さまは、治療による拘束や食事制限のある生活など、慢性的なストレスが原因で交感神経が過度に働く状態が続いており、それが血流の悪化や免疫力低下を起こし、体調不良に現れるとも考えられます。

そこで、患者さま自身が体の力を抜き自分で緩む「技(わざ)」を身につけていただき、調整能力を高めることに繋がれば、緩和できると思います。まずは、「目」と「足首(くび)」です。目の血流をよくする鍵は「頚(くび)」、足の血流をよくするのは「足首、踝(くるぶし)」です。

では目(頸)からいきましょう

首を動かせば、目の血流と同時に脳の血流もよくなります。このストレッチは眼球を限界まで動かして、目の健康だけでなく視力改善にも役立ちます。

1.基本姿勢
背筋が伸びているのを意識しながら目はまっすぐ正面を見る。
2.首を右にひねり、顔と目を右へ
鼻から息を吐きながら、首と顔を右にひねり、目をできるだけ右に向ける。できるところまでひねり鼻から息を吸いながら、1の基本姿勢に戻す。
3.首を左にひねり、顔と目を左へ
→息を吸いながら1.に戻す
4.顔と目をできるだけ下へ
鼻から息を吐きながら、首から前に倒して顔と目をできるだけ下に向ける。背筋は伸ばしたままが大切。
5.顔と目をできるだけ上へ
鼻から息を吸いながら、首を上に曲げて、顔と目をできるだけ上に向ける。腰から体を反らせてしまうと効かない。
6.首と目を大きく右に回す
いったん息を吸ってから、息を吐きながら首を大きく右回りに回し、目も首の動く方向に大きく動かす。これを3回。
7.首と目を大きく左に回す
6.の動きを左回しに、同様に3回。

足首回しとくるぶしマッサージ

足首回しとくるぶしマッサージ
  1. 足の指の間に手の指を交互に入れて軽く持ち、もう一方の手で軽く固定し、足首だけをゆっくり回すように、時計回りと反時計回りに5回ずつ。
  2. くるぶしの下半分に両手の小指をあて、そっとさするように下から上、上から下に10往復、優しくさする。

*以上、実施の前にはゆっくりした深い呼吸を忘れず、就寝前が効果的ですよ。(透析ナース じゃいこ)

透析医療の秘密

透析用水の清浄化がどうして必要なの?

1)エンドトキシン(ET)

スピルバーグ監督のSF映画に登場するETは、小さな宇宙人ETとエリオット少年との心の交流を描いた名作でした。怪我した指を治療までしました。有名なシーンですね。

しかし、透析世界のETとは決して交流をもってはいけません。何故なら体内に入り込み攻撃してくるからです。我々、ME(medical engineer)はETと日々戦う防衛軍です。

エンドトキシン

2)ET攻撃ツール

左が透析液供給装置の次に設置されているETRF、右がベッドサイドモニターに取り付けらた2重のETRF

ETは生命力が強い敵です。前回(第3号)書きましたRO装置で捕獲できずに進入するETがいます。ETが水道水に多く繁殖したり、清浄化システムの洗浄消毒不足などでETの数が増加するとRO膜をも通過して侵入してきます。

しかし、大丈夫です。安心して下さい!!

MEが保有する攻撃ツールが有ります。それがETRF(endotoxin retentive filter)、エンドトキシン捕捉フィルタです。

当院では、中央透析液供給装置の直後に大掛かりなETRFを保有しています。さらに万全を喫して皆さまが使われているベッドサイドモニターに入る直前にも2重で搭載しています。安心されましたか?

3)ETに攻撃されるとどうなるか?

透析開始直後よりETが透析膜を通過してヒトの血液に侵入すると、悪寒、発熱、低血圧、眠気などの急性反応を引き起こします。これではME軍の完敗です。

現在ではET攻撃ツールを保有するME軍が多くなりましたので急性反応は少なくなっていますが、昔は違いました。透析人生「山あり谷あり」でも指摘されているような透析中の不快感は、おそらくETが大きな原因だったのだろうと推測します。

現在、戦っているのは慢性反応です。

急性反応が出なくとも長期間にわたり微量のETが体内に侵入していると、体内では異物の侵入を引き金にした反応が着々と起こり炎症を強めていきます。これが続き、慢性炎症状態に陥ることで動脈硬化や栄養状態悪化など数々の合併症を発症します。

ETとの絶え間ない戦いによってME軍も日々強化成長しています。

次回は、未来の透析用水について書きます。

患者さんのコラム透析人生山あり谷あり5

この連載をさせていただいて5回目になります。もう5カ月が経過しました。第1回から、日本での透析治療始まりの頃の「厚く高い壁」について、その内容と「壁の崩壊」を述べてきました。透析導入を言われた私もまた、「透析」という現実の壁を越えられずに悶々としていました。そして、この私自身の壁を崩すきっかけを与えてもらったのが、奇しくも「厚く高い壁」の事実でした。

「何故、自分が?」「もう何もできない、これで終わりだ」

透析という現実が受け入れられず、このことばかり繰り返す日々でした。導入のため入院、2カ月後に退院し、通院透析になってからも、ただ2日に1回透析に行く、そんな生活が続きました。精神的に受容できないことと同時に、導入時に経験した透析治療自体の苦しみと恐怖も身体的記憶として残っていました。透析開始、脱血した瞬間に全身を悪寒が襲い、次いで頭痛、嘔吐・・・透析終了までの5時間この状態がずっと続きました。

今の透析レベルではあまりないことですが、急激な体液の変化によって起こる不均衡症候群です(当時、透析に行くときは必ず洗面器にタオル、ティッシュペーパーを入れて持参していました)終わった瞬間に「こんなことを一生続けのるのかぁ?」と強く思いました。

そう思った「こんなこと」を33年続けている、いや続けられているのですが…。(いつの頃からか?早い時期から洗面器を持参することもなくなっています)

透析を受け入れ、前を向く

このことを可能にしているのが、正に透析という医療とその医療技術です。この治療が国内約32万人の生存を可能にしています(2014年末、世界では2010年で約260万人)。20世紀最大の画期的医療開発と言われるのも頷けます。

そして、この画期的治療を継続して続けることを可能としているのが、現在の透析医療費に係る制度です。この実現と治療自体の発展を促した大きな要因の一つが、前回までみてきた患者自身を中心とする活動でした。

透析導入当時、前述の通り無気力だった私ですが、若かったこともあったのでしょうか、半面、どこか透析ということに興味をもちました。透析の原理や仕組みという治療そのものに関わることから、歴史や関連することについて、何もしていなかったこともありますが、いろいろな関係する書籍を読みました。 勿論、医師や医療スタッフの奨めもありましたし、患者会への入会も大きなきっかけになりました。

そこで目にしたのが第1回で紹介した「患者選択を行っていた覆面委員会」の写真でした。「患者選択」という現実に驚き、怒りに近い感情が起きたこと、そして、その現実に当時の患者自身が立ち上がり、自らの意志(意思)と行動でその不条理の解消に動いたこと、それを社会が大きく支えたことに大きな感銘を受けました。同時に、「もう終わりだ」と悲劇の主人公のようになっていた自身の後頭部を強く打たれたように感じました。やっと、透析を受け入れ、前を向くことが出来た瞬間だと振り返って思います。

5回の連載を振り返って

第1回から「壁」の話で遅々と進まないなぁ、と多くの方が思われたことでしょう。また、現在透析している方にとっても、これから透析を始める方(好ましことではありませんが)にとっても、ただ「昔のこと」に過ぎないかもしれません。

そう、過去のことには違いありませんが、事実として知っておくことが私は大切だと思います。何故なら、この事実を知ることが、その後、透析をしながらどう生きるかを考える教訓になると私は考えるからです。単に「生存」するだけではない、自らの意思として「生きる」透析患者にとって教えてくれるものがたくさんあると思うからです。

この5回の遅々とした連載を、その思いから受けて止めていただけると幸いです。

次回からは、私が経験した透析生活のいろいろな場面を紹介しながら、皆さんと一緒に考える機会が持てたらいいなと思います。(山咲 謙)

国による慢性腎不全医療の違い透析 世界の街歩き2

世界が注目するフランスの社会保障制度

前回は、世界一の観光立国フランス、病院医療発祥の地パリを訪れました。

フランスの社会保障制度は、一時1.6近くまで低下した特殊合計出生率(一人の女性が一生涯に出産する子供の数)が、子供は社会が育てるという考え方で出産育児を支援し、いち早く2.0に上昇した国として注目を集めています(日本は1.4)。独身の女性が日本のような苦労をすることなく、仕事を続けながら育児をすることが可能になっており、男女共に結婚にとらわれないライフスタイルが比較的普通になっているようです。

医療政策の面でも、医療における生活の質、経済的な効果性の両面においてバランスのとれた成果をあげている国として日本も注目しています。

フランスの医療制度は、国民皆保険、自由開業であることや、患者の医療機関へのアクセスが比較的自由なことなど日本に類似しています。国民医療費の対GDPの比率は日本よりやや高く、医療費の自己負担は同程度です。一度全額自己負担をしたのち差額が医療保険から後日償還されるようになっています。日本の高額療養制度も同じですね。

合理的なフランスの透析医療制度

筆者らは2011年、透析患者さんに同行し、フランスの透析医療の実際を視察した経緯がありますのでその時の様子を紹介いたします。

フランスでも日本同様、人工透析や腎移植などの慢性腎不全患者に対する医療(Renal Replacement Therapy:以下RRT)を必要とする患者が増加しています。フランスの人口は日本の1/2強で約6,600万人、透析患者数は約3万6,000人、人口あたりの患者数は日本のおおよそ1/5となっています。患者数はこの20年間で倍増し、透析患者の平均年齢は65~70歳と、日本同様高齢化しています。

フランスにおけるRRTの第一選択肢は腎臓移植です。年間2,500~4,000人が移植を受け、腎臓移植までの待機期間は2~3年程度となっており、日本と比較し移植が進んでいます。人口あたりの透析患者数が少なくなっているのはこのためでしょう。

フランスの透析医療機関は以下のように類別されていました。

自立している患者が、施設透析でも透析回路や機械のセッティングから穿刺に至るまで透析医療のほとんどを自ら行うことは、個人主義の国フランスの面目躍如というところでしょうか。当然のことながらそのため患者の教育制度が整備されています。

*街中のビルの1室にあるHDC 8床でチェアが基本である

政府は医療費抑制のため、また、同時に医師不足や医師の地域偏在の弊害に対応するため医師不在で透析を行うHCD以下の施設類型を推進しようとしています。医師が患者の状態を評価し可能な患者にはHDCを適用しています。ただし、患者が高齢化していることから、必ずしもHDC適用患者が増加しているわけではないようですが。フランスのHDCは比較的小規模で、筆者らが視察した施設は8床でした。勤務する医療スタッフは看護師1名で非常によくトレーニングされ頼りがいがあるという印象を受けました。このような効率的な人員配置が可能なことが、小規模で患者にとって利便性の高い施設運営を可能にしているようです。

個人主義の国の送迎サービス

*患者が透析を受けたパリ市内の病院と送迎サービスを担う民間事業者

フランスでも日本同様、透析患者は高齢化し、介助が必要になっています。日本では、どちらかというと患者サービスの一環として、医療機関が自らのコストでマイクロバスなどを運用していますが、フランスでは、患者の状態から医師が送迎の必要性の有無を判断し、送迎にかかる費用はすべて公費負担となっています。

したがって、送迎は患者単位で行い、実際の送迎は民間の移送サービス業者が担っています。こういったことも公的医療費を押し上げる一因となっていますが、一緒が嫌いな個人主義の国民性からは譲れない一線なのかもしれません。

ステロタイプですが、船が沈没しそうになって乗客を海に飛び込ませる時は、“日本人”には、「みなさん飛び込んでますよ」と言い、“フランス人”には、「決して海には飛び込まないで下さい」と伝えよと言われてるようです。ちなみに“イタリア人”には、「海で美女が泳いでます」がいいようです。(D.S)

編集部から

4月14日、そして16日以降も続く熊本地震で被災され皆さまには心よりお見舞い申し上げます。また、現地で支援されている医療スタッフの皆さまお疲れさまです。当法人も微力ですが、義援金と患者の受入れという形で支援を行い、気を引き締めて備えを再度確認いたしました。次号は学会報告をお届けいたします。(DS)。

Oasis Heart 編集部 医療法人社団Oasis Medical 内
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