第3号2016.03 | Oasis Heart(ニューズレター) | 夜間透析と透析 東京都北区の田端駅前クリニック

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Oasis Heart 2016.03


第3号 2016.03

院長のとっておきの話

“元気がでる透析医療のコツ”(その2)


田端駅前クリニック
院長 青木 竜弥

今回は血流量(QB:Quantity of Blood flow)についてお話したいと思います。
血流量とはシャントから血液ポンプを使って血液を取り出し、ダイアライザに流入させる血液の流量をいいます。前回は、透析時間が長ければ長いほど透析の効率が上がるというお話をしました。実はそれだけではありません。透析時間と同様に透析の血流量が効率に関係してきます。透析効率を上げるために血流量が重要な要素なのです。例えば、血流量に比例して小分子尿毒素は除去されていきます。

長生きしている人の常識とは

2009年の日本透析医学会の報告に血流量と生命予後を調査したものがあります。少しむずかしいかもしれませんが、出来るだけ簡単にお話ししますね。血流量200ml/分を1とすると、血流量150未満では2.8倍も死亡リスクが高いことがわかります。何と死亡リスク2.8 倍ですよ。

透析における血流量と死亡リスク

反対に、血流量200ml/分に比べ300ml/分では40%以上も死亡リスクが低くなっています。
昔からQBを上げると「心臓に負担がかる」、「血圧が低下する」と言われてきましたが、科学的な根拠はありません。海外の研究においても、高透析量群での心臓関連死は増加しておりません。

血流量さえ上げればいいというのは本当か?

当然、上の見出しのような疑問が出てきます。しかし、血流量が多ければ多いほど効率が上がるという単純なものでもありません。血流量を増やしたぶん、ダイアライザを大きな膜面積のものに変更したり、血流量に見合う透析液流量(一般的には500ml/分の施設が多いです)に上げなければ変化は少ないのです。
むずかしいことは、さておき、重要なのは透析時間と血流量です。この2つの要素を最適にすることで、何が起きるのでしょう? 冒頭にお話ししたとおり、あなたの死亡リスクが減るのです。これは画期的なことだと思いませんか?

少しの違いが大きな違いに

毎日の透析で少しの工夫が大きな差になってきます。
透析の時間が短く、血流量が低いと、透析が不十分となり死亡リスクを上げることになります。それを補うために、さまざまな薬剤を使用することになりますが、かえって身体にダメージを与えることにもなりかねません。基本は、そして重要なのは、十分な透析、最適な透析を行うことです。
実は毎日の少しの違いが大きな違いになります。日々の透析が極めて重要であることを理解していただければと思います。

透析ナースのコラム

今日もお変わりありませんか? 体が喜ぶ体操シリーズ(第1回)

はじめまして、「からだがよろこぶ体操」を担当します、「透析ナースの“じゃいこ”」です。簡単に自己紹介させて頂きます。

私は透析に関わって30数年のナースで、“HANAナーシングセラピー”のインストラクターです。ここでは、透析患者さんが手軽に治療中にできる体操のご紹介や、その医学的な根拠をわかりやすくご紹介しようと思います。ぜひ、実践してみてくださいね。

今回は、記念すべき第1回目ですので、“HANA”の基本的な考えに基づき「楽になる」ことを目指して、「呼吸のできるからだ」をつくりましょう。すべての基本は呼吸法を伴います。そのため、2、3回深呼吸をしてからゆっくりご自分の呼吸に戻し、吸うとき、はくときに合わせて体操をするようにしてください。深呼吸は自律神経を落ち着かせ、体をゆるめてくれます。

人の血のめぐりには、①血液循環と②リンパの流れがあるのをご存じでしょうか。血液の流れは心臓というポンプから全身に送り出され、また末梢の血管から心臓に戻ってくるシステムです。

一方、リンパは血液の排水管の役割を果たしています。リンパ管には弁があり、逆流しないようになっていますが、心臓のようにポンプシステムがないため指先などはすごく細いリンパ管で、小さなゆがみや詰まりでもその流れは滞ってしまうのです。

皮膚の摩擦や筋肉の動きなどにより、ゆるやかに流れ、最終的には胸の大きなリンパ管に戻ります。この血のめぐりが体温の調節にも作用しているのです。

また、透析中はシャントに穿刺して血流をとっているため、指先の冷たさや、肩の痛み、しびれなど、シャントの手を意識して動かないよう姿勢を保つことなどから、さまざまな症状が出ていると思います。

そこで、冷え対策、肩こりエクササズとして、透析中にできる体操をご紹介します。

まずは①グー・チョキ・パー体操、②指くみ、指さすり、③肩上下10回の3つです。

それではやってみましょう。①グー・チョキ・パー体操は足の指もやってみるといいですよ。

足指じゃんけん

足指じゃんけんをやってみましょう

②指くみ、指さすりは左右の指を第1関節より指先側で交互に組み、手のひらの中に卵を入れて軽く握るようなイメージで閉じます(関節部分で組むとかえって血液が滞るので注意)。③肩上下10回は、息を吸いながらゆっくり肩を耳に近づけ、1~2秒キープ、息をはきながらゆっくり肩を下げ、1~2秒キープ、を繰り返します。ポイントは肩を上げ下げするときは、ゆっくり行うことを心がけましょう。
さあ、一つでも今日から始めてみましょう!(透析ナース じゃいこ)

透析医療の秘密

水道水から透析用水が作られるまで…そしておいしいコーヒーの水

水処理の概略図

透析水は上の≪水処理の概念図≫のようなプロセスを経て作られています。この図にそってお話を進めてまいります。

1)プレフィルター

このフィルターは、原水(水道水)中の混濁物質や不溶性物質を除去するフィルターであり、これに続く活性炭フィルターや軟水装置の目詰まり防止のための前処置を行うものです。ビル、マンションの貯水タンクは2層に分かれていますが、これは年に1回程度タンク内を洗浄するためです。洗浄に立ち会った経験がありますが、 かなり汚れています。

2)活性炭フィルター(活性炭濾過装置)

多孔質である活性炭は、残留塩素、クロラミン、有機物を吸着することから、RO装置の前処置として使用されます。冷蔵庫に入っている脱臭剤と同じ物ですね。なお、塩素系化合物は溶血事故の原因になりますが、RO装置(膜)では除去出来ないため、活性炭は非常に重要です。

3)NF膜(軟水化装置)

RO装置は塩類が沈着すると処理能力が著しく低下するため、カルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)を除く必要があります。これらを除去する装置が軟水装置で、イオン交換樹脂を使用する方式と膜式の2式があります。
私が透析に携わった当時は、この水を透析用水としていました。今では考えられませんね?この水には塩素消毒されて壊れた、たくさんの細菌の破片(毒素エンドトキシンの素)がウジャウジャですね。

4)RO装置

RO装置は海水を淡水にする装置として広く知られるようになりました。前処理された水をROモジュール(膜)に高圧をかけ99%以上の溶質を除去するものです。混ざり気のない水とでも表現しますか?
以上の工程を経て透析用水が製造されています。

コーヒーの水

コーヒーはお好きですか?ドリップしてコーヒーを楽しむ時、是非透析用水を使ってみませんか?一般的には、苦み、風味、豆との調和を味わうのでしたら2)の水です。
私は酸味が好きなので4)の水を使います。

田端、新橋の両クリニックの近くにはシアトル系のコーヒーショップがありますね。私は、秩父宮ラグビー場からの帰りに最近よく立ち寄るコーヒーショップ(Blue Bottle coffee)があります。コンセプトが素晴らしいのです。「個人の香りがするコーヒーチェーン」。時間は掛かりますが、1杯1杯バリスタがドリップしてくれます。コーヒーはもっと心を込めて淹れるもので、マニュアル化され効率化されるものではないと思っています。
私も1回1回の透析治療に心を込めてと実感させられます。

患者さんのコラム

厚く高い壁 その闘いのはじまり

1960年代後半から70年代初めにかけて、人工腎臓の開発・臨床化による末期腎不全治療に対する希望と、半面、高額な医療費による経済的負担と人工腎臓の絶対数不足という患者にとっての「厚く高い壁」、その結果として「患者選択」に至っていた現状をみてきました。

「誰でも、いつでも、どこでも」

では、当時の人工透析をめぐる厳しい状況から、末期腎不全に至った患者が誰でも透析治療を受けられようになったその要因は何だったのでしょうか?

1.患者の動き(全腎協結成)

人工透析の臨床化にともなって、透析治療を行っていた施設単位で患者同士の情報交換や体験交流を中心として患者会が結成されつつありました。また、新潟・愛知・兵庫・広島などでは県単位の患者会も組織化に向かっていました。その構成は、透析患者は勿論のこと、その家族、そして末期腎不全で透析開始を目前とする患者、いわゆる保存期の患者が多く含まれていることが特徴でした。

患者選択が行われている厳しい現状、特に高額な医療費負担の解消を中心に、透析を必要とする患者が誰でも治療を受け、それを安心して継続できる制度確立に向けて全国組織の結成が準備されていきました。

そして1971年6月6日、全国腎臓病患者連絡協議会(現一般社団法人全国腎臓病協議会:略称全腎協)の結成に至り、人工腎臓の公費負担・透析患者の身体障害者認定の実現を中心とする緊急項目を決議します。全腎協は結成直後から、厚生省(現厚生労働省)・大蔵省(現財務省)等に対する要望活動を精力的に行います。

それは、患者自身の取組みとは思えない活動であったと想像します。当時の透析条件から患者の身体状況は、現在とは比較できないほど厳しいものであったに違いありません。極度の貧血状態であっただろうし、血圧も不安定だったろうし、その中での行動は過酷であったに違いありません。

それでも続けられたのは、生きる、生きたいとの切実な願い、そして、自らが行動しなければ「壁は崩せない」との使命感があったに違いないと私は思います。当時、透析導入が迫っている状態でも、それを延期し、制度実現のために行動した患者は少なくありませんでした。「生命を賭した行動」でした。

2.社会の反応(新聞報道と世論の動き)

ある新聞社が、こうした人工腎臓をめぐる動向に注目しました。読売新聞大阪本社です。同紙は、1971年6月4日から夕刊の健康面のページに「ジン臓病との戦い」という連載を開始します。当初、「10回ほどで終わる予定であった」といわれていたこの連載は、全腎協の結成と時を同じくしたこともあり、掲載直後から大きな反響となり、29回続きました。

全腎協の活動と世論に大きな影響をおよぼした読売新聞大阪本社版の連載記事「ジン臓との戦い」

そして全腎協は、この連載によって、その後の行動と結果に大きな影響を受けたと言えます。読売新聞1社のみ、しかも大阪版という地方での連載記事でしたが、患者、患者会にとっても、厚生省を中心とする行政にとっても、そして世論に対しても重要な役割を担ったと言えます。

腎臓病、人工腎臓についての知識を伝えるだけでなく、人工腎臓によって生きることができるという新しい認識、それを妨げている「壁」が存在すること、また「壁」を打破するためには何が必要かを当時の社会に問いかけた貴重な記事でした。

このあと、社会は急速に人工腎臓をめぐる制度確立に向けて動き始めるのです。(山咲 謙)

「医療は文化」が息づくパリ

田端駅前クリニックには、出張や旅行などを目的として年間延べ 300人近い臨時患者さんが来院されます。なかには台湾・中国、タイ、ドイツなど海外からの患者さんもいます。臨時の患者さんは年々増加の傾向にあり、微力ながら透析患者さんが自由に移動できるようにさらに受け入れを拡大していきたいと考えています。
そこで、ここ「透析・世界の街歩き」では、海外の医療・透析事情などを紹介していきます。

世界の観光事情

さて、世界で最も国外からの観光客(国際観光客到着数というようです)が多い国はフランスで、年間8千万人以上が訪れます。ついでアメリカ、スペイン、中国と続きます。近年、中国やアジア各国からの観光客が増加し、“爆買い”に湧いている日本は、まだ第22位(2014年)で観光客は2千万人に満たない状況です。逆に日本人がよく旅行する国は、アメリカ(中でもハワイ)で、中国、韓国、台湾と続きます。やはり身近な国が多いようです。

なんといっても花の都パリ

フランスはイスラム国(IS)によるテロが発生し、一時的に観光客が減少していますが、“花の都パリ”の中心市街地は歴史ある石造りの建造物が昔の外観そのままに保存され、また、石畳の路地も多く残されていて、宝石箱のように美しい。
古い建造物をそのままに中の設備だけを近代化するのは、相当のコストがかかるものですが、それに見合って余る経済効果があるのでしょう。
また、気位の高いフランス人の心意気なのか…、旧い街での少々不便な暮らしを楽しんでいるようにも思われます。路地のあちこちに小さなパン屋さんやカフェテラスが点在しているのは、人間の身体感覚に見合って暮らしやすいのかもしれませんし、一寸の隙間もなく並ぶ縦列駐車のテクニックにも並外れたものが…、それともバンパーはぶつけるためにあるといった感覚かもしれません。
社寺仏閣と一部の観光地域にはなんとか昔の風情がのこされているものの、中心市街地では町家が壊され、猫の額のような駐車場や小規模なマンションに建て替わっていく京都との違いを感じてしまいます。

宗教が生きているパリの病院

写真①“L'Hotel Dieuo”の大理石の柱で囲まれた中庭でくつろぐ医療スタッフや患者さん

写真②パリ市内にあるLariboisiere 病院(循環器の急性期病院)の外来廊下は大理石でできている。この中にアンギオやMRIなどの高度医療機器が格納されている。廊下の突き当たりには礼拝堂がある

フランスは看護の母、ナイチンゲールや病院の原型である“L'Hotel Dieuo(現パリ市立病院)”など医療の歴史においても重要です。
驚くことに、“L'Hotel Dieuo”は昔の建物を保存しながら現在でもパリ市立病院として、パリ市民の救急・急性期医療の重要な役割を担っています(写真①)。また、パリ市立病院に限らず、旧市街地にある多くの急性期病院も、他の建造物同様、歴史的建造物としてその外観はそのままで活用されているものが多いようです。
これらの病院は共通して、美しく整備された広い中庭を回廊状に囲むように建物が建ち、建物の中央もしくは要所に教会(礼拝所)があります(写真②)。カトリックの国フランスならではでしょうか?政治的には、宗教的に中立を守ることがISのテロの標的のひとつになったという報道もありますが…、「医療は文化である」と言われるように、ここフランスでは医療は深く魂の救済としての宗教と結びついているようです。(D.S)

編集部から

本号がお手元に届く頃はインフルエンザの猛威も終息しているでしょうか?
台湾では地震災害が起き、透析施設にも少なからず被害があったものと思われます。当法人では台湾からの臨時患者さんもいらっしゃり人ごとではなく、ささやかではありますが義援金で支援をさせていただきました。
皆様にもご協力お願いいたします。(DS)。

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