田端駅前クリニック院長のブログ

Category Archives: 夜間透析について

後悔しない透析医療

 

今さら聞けない、そもそも腎代替療法って何だ?

透析医療、人工腎臓、人工透析、夜間透析、

オーバーナイト透析、在宅透析等など、「透析」という用語

は頻繁に使われています。

透析医療に関わっている人は当たり前のように使う

専門用語ですが、本当に「透析」の事を正確に知っている方

がどの程度いるのでしょうか?

時々、疑問に思うことがあります。

 

Asian man in a lab coat giving a shrug on a white background
Asian man in a lab coat giving a shrug on a white background

患者さんの中には

「別に知っていようが、知らなくても自分とは無関係」

といいう方がいます。

もちろん、知らなくても透析医療を受けることが出来ますし、

それはその方の価値観といえばそれまでです。

私は別に、

そこにクレームを付けようというのではありません。

 

知ることで幸せになる

 

我々のクリニックは、透析の患者さんは大変な事も多いと思いますが、

少しでも患者さんに幸せになっていただくことを目指しています。

これが我々の本質です。

Oasis Medicalは患者さんの人生を豊かにし、満足していただきた

いと考えています。

実はこのようなデータがあります。

透析患者会の全国腎臓病協議会の調査によると、

知識を持っている患者さんと

知識が不足している患者さんでは、

透析医療に対しての「満足度」が異なるという

事が明らかになりました。

3d man student and book on white background
3d man student and book on white background

 

端的に言えば

透析について知識を持っている人のほうが、

満足度が高いのです。

つまり、少し幸せ感が上がるのです。

このようなことから、少しでも患者さんが満足し、

幸せになっていただければと知識や情報の共有を考えています。

さて、前置きはさておき、スタートしましょう。

腎臓が機能しない状態=腎不全が進行し

末期腎不全になりますと、ご承知のとおり、

生命の維持が困難になってきます。

こうなりますと、

何とか腎臓の代わりとなるものが必要になってきます。

この腎臓の代わりになるもの、

この治療法のことを腎代替療法といいます。

あなたを助ける3つの方法とは?

 

腎代替療法は

大きく分けて透析療法と腎移植からなります。

そして、透析療法には血液透析と腹膜透析(CAPD)があります。

3d target and arrows, isolated on white
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「あれっ、そうだったの?」

とこのことを血液透析患者さんで

初めて耳にする方もいると思います。

実はこれが問題なのです。

3種類の治療法があるにも関わらず、

そのうちの1つしか知らされていないケースがあります。

当然1つの治療法しか聞いていないので

その治療法を選択することになるのです。

患者さんの年齢や原疾患、合併症を考慮し、

医師が判断してその治療法を勧めることはあると思います。

しかし、

どういう状況であれ治療法について

患者さんは知る権利がありますし、

医師には伝える義務があるのです。

全てのことを伝えたうえで、

総合的に判断して特定の治療法を選べば、

少なくとも患者さんが知らないと

いうことはなくなるはずです。

全国腎臓病協議会の調査

「透析患者の行動選択に関する実態調査報告書」

によれば、血液透析患者さんのうち、

腎代替療法全てを知っていた患者さんは

42%しかいませんでした。

これには驚きました。

実に58%の人が知らされていないのです。

ですから、少しでもこのブログで情報を提供できればと

思います。

今更と思うかもしれませんが、一通り簡単に触れたいと思いま

す。

Female KIDNEY anatomy x-ray posterior view
Female KIDNEY anatomy x-ray posterior view

 

血液透析について

 

皆さんがイメージしている透析とは血液透析

を指すことが多いと思います。

簡単にいえば、

シャント血管から血液を取り出し、

ダイアライザ-を通過してきれいなった血液を体に

戻すという治療法です。

患者さんはその間、

ベッドに横になるか椅子に座るかして透析を行ないます。

それを1回4時間以上、週3回継続していきます。

血液透析をされている方にとっては、

生活の一部になっていると思いますが、

されていない方はイメージがわかないと思います。

透析中はシャント肢をまっすぐ伸ばしたまま

動かすことができませんが、

反対の腕は使うことができます。

我々のクリニックでは、チェアーで本を読んだり、

テレビのリモコン操作し、

テレビを見たり、

映画を見たり、

パソコンでインターネットを楽しんでいる方

もいらっしゃいます。

また、お手洗いは言っていただければ、

透析を中断して行くことができます。

我々のクリニックでは、

透析中に出来ることは何でも

出来るようにしたいと考えています。

歩きながら透析ができる持ち運び型の透析器ができる日も近いか

もしれません。

腹膜透析(CAPD)について

 

先ほどお話しましたが、透析療法のもう一方は

腹膜透析(CAPD)でしたね。

腹膜透析は自分の体の中にある腹膜を使った透析方法で、

血液透析とは全く違った手法になります。

腹膜は腸などお腹の中(腹腔)の臓器を覆っている薄い膜です。

この膜を利用して血液をきれいにします。

凄く不思議ですね。

お腹に専用のカテーテルという細いチューブ

を埋め込む手術を行い、

この管を使用して透析液を出し入れし透析を行ないます

(通常1日4~5回)。

腹膜透析の最大のメリットは通院が月1回程度で

自宅や職場など

医療施設以外で透析を行なうことができる点です。

透析液が常時お腹に満たされていて、

腹膜を介して24時間常に透析を行っている状態になります。

このため、連続した透析となり、

体液や血圧の変動が少なく心臓をはじめとする

からだへの負担が血液透析と比べて軽いことです。

APDという夜間寝ている間に透析を行う方法もあります。

 

腎移植について

 

腎移植は年間1500件前後行われています。

そのうち約1300名は生体腎移植、約200名は献腎移植です。

唯一の根本的治療であり、

移植後は健康な人とほぼ同様の生活が可能で、

5年生着率は90%以上です。

素晴らしい治療法ですが、

免疫抑制剤を生涯内服する必要があり、

定期的に外来受診を行ない、

感染症や合併症に対する予防や治療を行なう必要があります。

残念ながら件数も少なく、

透析を受けながら献腎移植を待っている登録患者さんは

約1万3000人であり、

そのうち約2%弱の方のみしか

腎移植を受けられていない状況です。

このように、

腎代替療法には3種類の方法があります。

また、腹膜透析をしながら血液透析も行うという

併用療法もあります。

腎不全→血液透析ではなく、

様々な選択肢の中から選ぶ治療法の1つであることを

わかって頂ければと思います。

選択は患者さんご自身が主体的にするものです。

 

医療者はあなたの良きアドバイザーとして

考えていただければと思います。

 

長時間透析について

こんにちは

院長の青木竜弥です。

 

透析医療に携わって10数年。

 

私なりに思っていることや感じていることを綴りたいと

 

思います。

 

第1回は透析時間について。

 

透析時間って気になりますよね。

できれば透析時間は短い方がいい。

多くの患者さんがそう考えていると思います。

 

しかし、それは間違いです。

 

最初から否定から入って

 

申し訳ありません。

 

2009年に日本透析医学会から出されたデータの中には、

 

透析時間と生命予後に関するものがあります。

 標準的な4時間透析している患者さんを1とすると、

3.5時間の患者さんでは1.2倍、3時間以下では2倍も

リスクが高いことが示されています。

逆に5時間以上では0.7倍とリスクが低くなっています。

死亡リスク

現在日本では4時間透析が一般的ですが、

5時間、6時間透析を実施している施設も増えてきております。

日本国内における透析患者の10年生存率は約36%で、

6時間以上の長時間透析を行っている施設の10年生存率は80%に

まで達するという報告もあります。
この他、たとえば長期合併症である透析アミロイドーシスの原因

となるβ2-MGなど分子量の大きい物質の除去は、

透析時間が最大の規定因子で、

時間をかけないと除去できません。

 

また、短時間透析では血管内老廃物の除去はできても、

組織間液や細胞内からの老廃物除去は十分ではありません。

組織間液や細胞内老廃物の除去には十分な時間

をかけることが大切です。

 

この他、

短時間透析では急激な体液量および溶質濃度の変化により、

急激な血圧低下や下肢つれなどが出現するリスクが増加します。

一方長時間透析では透析中の血圧低下や下肢つれ、

疲労感が軽減し、掻痒感や色素沈着などの悩みも解消します。

また、貧血の改善、血圧の安定、動脈硬化進行抑制、心不全予防

など沢山のメリットがあります。

十分な透析を行うことで、内服薬が減り、食事制限も緩やかにな

ることもポイントです。

 

このように長時間透析には様々な利点があります。

透析時間が長いのは確かに苦痛だと思います。

しかし、短時間の透析がリスクを高めることを考えると、

 

長時間透析をできるだけ苦痛を軽くする工夫が必要だと

考えています。

当院ではできるだけ患者さんの苦痛を軽減するように、新たな

取り組みを致しました。

長時間透析をできるだけ苦痛なく、過ごしていただける様に

取り組みをしています。

この取り組みにつきましては、また次回お話しします。