田端駅前クリニック院長のブログ

テレビ東京の番組 慢性腎臓病、CKD、サイレントキラー

サイレントキラーのこと知りませんでした

 

本日、テレビ東京で慢性腎臓病の特集があります。

この中で「サイレントキラー」という言葉が使われていますが、

恥ずかしながら、実は腎臓専門医の私には初耳でした。

勉強不足かもしれませんが、改めてインターネットで調べるてみ

ました。

webioによると、

危険を自覚しないまま放置され、知らないうちに進行し、ある日突然命にかかわる状態となり、初めてことの重大性に気が付く病気のことをいいます。生命の危機を招く恐れがあるため、「沈黙の殺人者 (Silent Killer)」と呼ばれています。代表的な病気に高血圧があります。生活習慣病も、その多くが自覚症状が少なく、放っておくと脳卒中や心筋梗塞を発症するため、サイレントキラーといわれています。(出典:Webio)

沈黙の殺人者とは、何やら物騒ですね。

もう一つのキーワードはCKDです。CKDは腎臓専門医の私の専門

ですが、詳細は腎臓学会のホームページにCKDガイドラインが

詳しく掲載されています。

http://www.jsn.or.jp/guideline/ckdevidence2013.php

 

その一部を紹介しますと、「CKDとは

2002 年に米国で提唱された CKD( chronic kidney disease :慢性腎臓病 )

の概念は,現在,世界中に普及 している。

CKD は末期腎不全へと進行する危険因子であるのみならず,心血管

疾患発症の危険因子でもある.したがって,その早期発見と対策の重

要性が喫緊の課題として認識されている。」

とあります。

CKDが進行しますと、慢性腎不全となり、透析が必要となりま

す。

腎不全の予防のためにも、正しい知識が必要になりますね。

詳しくお知りになりたい方は、こちらを参照ください。

http://www.jsn.or.jp/guideline/ckdevidence2013.php

 

間違いだらけの透析医療 長生きするためのリン?

 

人工透析の患者さんは、よくリンを減らすように言われると思い

ます。

おそらくあなたもそうだと思います。

なぜ減らす必要があるのでしょうか?

それは、リンが高いと長生きできないことがわかったからです。

heart shape form by various vegetables and fruits
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リンと体のすごい関係とは?

何故でしょうか?

そのメカニズムを今回お話ししたいと思います。

透析患者さんの血液中にリンが増加すると、

カルシウムと結合して体の色々な部位に沈着します。

このリンとカルシウムの結合体が、

様々な症状を引き起こすことになります。

Pills with calcio CA element Dietary supplements. Vitamin capsules. 3d
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皮膚では激しい痒みに悩まされたり(本当に嫌ですね)

関節の周囲では沈着したリン酸カルシウムの影響で

強い痛みを起こしたり、

関節の変形や腫脹などを引き起こします。

それだけではありません。

血管壁にもリン酸カルシウムが沈着し、

動脈硬化を増悪させ

心筋梗塞や脳血管障害を引き起こしたり、

手足の末梢循環障害による痛みやひどい時には、

壊死などをもたらします。

このようにリンが多いと、

皮膚や骨といった皮膚・筋骨格系だけではなく、

血管や心臓、脳血管といった部位にまで影響を与えます。

透析患者の死因の1位とは?

透析患者の死因の

1位は心不全、

4位が脳血管障害、

5位が心筋梗塞です。

透析を長く続けていると

心臓や脳血管障害による死亡率が上がります。

 

あまり知られていない長生きの秘訣とは?

これまでお話しした通り、

その原因が血清リンの上昇といわれております。

逆に言うと、

リンを低く抑えることができれば、

心血管系の病気にかかりにくくなり、

長生きすることができるわけです。

この事はわかっているようで以外と知られていないのです。

また、

高リン血症が持続すると後に副甲状腺機能亢進症となり、

副甲状腺ホルモンが骨を溶かすようになります。

すると骨から出たリンの影響で血中のリンはますます増加し

、ますます死亡のリスクが高まっていきます。

 

りんの真実、秘密のリン

リンの悪い面ばかりをお話ししましたが、

実はリンそのものは体なくてはならないもので、

細胞内にたくさん含まれています。

エネルギーを運搬したり、

カルシウムと共に骨を作る役割があります。

そして、蛋白質とリンは切っても切れない関係にあり、

ほとんど全ての蛋白質はおよそ1%のリンを含んでいる

と言われています。

体重50Kgの人が50gの蛋白質を食べると

約0.5g(500mg)のリンを摂取することになります。

roasting teppanyaki
roasting teppanyaki

 

通常、食事中のリン含有量は1日1000~2000 mgであり、

その60%が腸から体内に吸収され、

吸収されなかったリンは便と一緒に排泄されます。

便の中には400mg程度のリンが含まれています。

毎日の少しの差が大きな差になる事実

つまり、

透析の患者さんは毎日便秘をしないように配慮することも

大切になります。

腎臓が正常であれば吸収されたリンは

全て尿から排泄されます。

しかし、週3回1回4時間の血液透析では1回に1000mg

しかリンを除去できず、

1日に換算すると400mg程度しか血液から

取り除くことができません。

 

リンはこのように食べ物から体の中に入ります。

一言で食べ物といってもリンを多く含む食べ物、

リンが少ない食べ物があります。

リンを多く含む食べ物には何があるでしょうか?

ひとつは先ほどお話ししたとおり、蛋白質を多く含む肉、

小魚、卵、乳製品、豆類です。

また、保存料としてリン酸を添加しているもの、

例えば魚肉加工品(かまぼこ、はんぺん、魚肉ソーセージ)

やインスタント食品、

ベーコン、ハム、ソーセージ、冷凍ハンバーグなどに

多く含まれています。

 

成功はあなたの手の中にある。

さて、これからが本題です。

あなたのアクションには2つ視点があります。

その第一は、リンを血液中に増やさない事です。

これはあなたがコントロール出来る事です。

医師やナースから食事制限を言い渡されるのは嫌ですよね。

医者の私でも嫌です。

しかしこう考えてはどうでしょうか。

実は、コントロールは自分の自由意志で可能だということです。

操縦桿を握っているのはあなたです。

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あなたがコントロールすることができるのです。

もしコントロールを失敗したら?

どうするかという疑問が残るかと思います。

心配いりません。余分なリンは薬を使って

除去することができます。

これが第二のアクションです・

また、前回もお話ししましたが透析時間を延ばし、

長時間透析を行うことで血液中のリンは減少します。

重要なポイントは、

あなたがコントロールできるということなのです。

しかも失敗もありです。

薬や透析はセーフティネットと考えてはどうでしょうか。

少し気持ちが楽になりませんか。

そしてあまりストイックになりすぎてもダメです。

肉や卵を全く食べないと良質な蛋白質が不足するので、

毎食バランスよくとることが大事です。

これ、いいと思いません。

あなたの自由意志で透析をより快適に

過ごしてはいかがでしょうか?