間違いだらけの透析医療ー成功する水分管理の方法とはー


水分の管理について

透析では水分の管理が重要とあなたも指摘されることが度々ある

と思います。

水やコーヒー、お茶といったものを制限することだけが

水分の管理だと勘違いされている方を多く見受けます。

ここで断言しますが、これは間違いです。

この点に関して、これからお話しましょう。

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実は、水分は重要ですが、水分と塩分の間には密接な関係があり

ます。

普通の人でも塩分を多くとると喉が渇き、水分を沢山摂取すると

塩分が欲しくなります。

これは、体が塩分(ナトリウム)濃度を一定に保とうと働くため

に起こります。

塩分をとれば、必然的に身体の塩分の濃度は高くなります。

それを、薄めて一定の濃度にするためには、外から水分を入れる

しか、方法はありません。

もう少し専門的に言うと、

ヒトの血液中ナトリウム濃度は140mEq/L前後に保たれており、

塩分を摂取すると血液中のナトリウム濃度が上がり、

水を飲んで薄めようという身体の機序が働きます。

これは、あなたの意思とは無関係です。

逆に水を沢山飲むと、血液中のナトリウム濃度が低下し、

塩辛いものが欲しくなります。

このような現象は血液中の塩分濃度を一定に保つために

人間の体が自然と行います。

したがってなかなか、我慢することができません。

このことから結果的に水分を制限するためには、

塩分摂取を控えることがその結果として水分摂取を抑制し、

水分制限になります。

ここが重要なポイントです。

 

塩分を制する者が水分を制す

1回の血液透析での除水量は体重の3~5%以内が理想とされております。

ここで少し計算してみましょう。

体重60㎏であれば透析間の増えが1.8~3.0㎏となります。

単純に計算すると、3㎏の体重増加は3リットルの体液増加を

表します。

血液のナトリウム濃度を140mEq/Lとすると、

増加したナトリウム量は、140mEq×3L=420mEqとなり、

塩分1gがナトリウム17mEqに相当するので、

420÷17=24gとなります。

これが3日間で起こったとすると、

1日当たり8.0gの塩分を摂取したことになります。

 

水分を調整するのではなく、塩分を調整する事が成功への道

言い換えれば、塩分を8.0g 摂取すると、

自分の意志とは関係なく

体の塩分濃度調整のために

体重が1㎏増えてしまうことになります。

このように増加する体重は塩分摂取量によって決まって

きてしまいます。

くりかえしますが、これはあなたの意思とは無関係です。

従って、体重増加が多い場合は、

塩分制限をしないとなかなか体重増加を

抑えることができません。

私たちが水分のみを制限するのは非常に苦痛で困難です。

ヒトは喉の渇きに合わせて水分を摂取するので、

喉の渇きを起こさないようにすることが大切です。

通常の人の1日の塩分摂取量の目安は10gとされておりますが、

透析患者さんの1日の塩分摂取量は6gと

厳しい制限がされています。

ラーメン1杯に含まれる塩分が約6gであり、

それだけで1日に必要な塩分を摂取してしまい、

体重増加につながります。

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このように水分をコントロールするには塩分を

うまくコントロールできれば、

それほど難しいことではありません。

つまり、塩分が成功の鍵という事なのです。

塩分を制して透析中の下肢つれや血圧低下からおさらばしましょう。

 

 

 

 


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