田端駅前クリニックスタッフのブログ

台所のおと

台所のおと

幸田文の小説に「台所のおと」という短編がある。

幸田文は、明治時代の文豪幸田露伴の娘である。

台所で支度をする妻の包丁の音、その音に微妙な心の変化をききとる。お互い苦労してきた料理人夫婦の心の機微が凛とした文章で描かれている。名品である。

小説の紹介文には・・

「女はそれぞれ音をもっているけど、いいか、角だつな、さわやかでおとなしいのがおまえの音だ。料理人の佐吉は病床で聞く妻の包丁の音が微妙に変わったことに気付く」・・

とあり、書き出しは「・・あきはもとから静かな台所をする女だが、この頃はことに静かで、ほんとに静かな音しかたてない・・」である。

台所の音

 おいしいおと

「あきはくわいの椀だねをこしらえていた。すり卸したくわいをはしでほそながくまとめて、から揚げにする。はなやかな狐いろになる。佐吉の好きな椀だねのひとつだった。くわいはあまり油をはねず、さわさわとおとなしく火がとおる。」(引用下線 仙人)

というくだりがある。天ぷらを揚げたことのある人はおわかりだろうが、油の温度が低いと、じゅるじゅるという鈍い音しかしないし、温度が高すぎるとパチパチと油がはねて大変だ。天ぷらダネを油に滑り込ませた瞬間に、味が決まるといって過言ではないだろう。

さわさわという音、こまかな泡とともに浮き上がってくるタネ、こおばしい香りがしてくるようで、はふはふとほおばりたくなる。(私が書けばこのレベル)

tennpura

扉のおと

当院は透析クリニックなので、患者さんとは何年もの長いお付き合いになり、しかも2日に1回のペースで通ってこられる。いわば、家族のような関係だ。

先に紹介した仙人好みのクリニックの扉、その扉を開けるときこえるウィンドベルの音、扉を開けるそのおとで患者さんのその日の体調や気分がなんとなくわかる・・・なんてことはあり得るだろうか・・

それは、さすがに難しいだろう。

仙人がクリニックに入るときは、「忍び寄るような気配」などとスタッフから言われているが・・

やはり言葉で表現してもらわないとわからないのである。だから、当院では、目をあわせあいさつをし、患者さんと言葉を交わすことをたいせつにしている。患者さんの気持ちを和らげ、いろんなことをはなしやくし、日常生活のことなどもお聞きし適切なケアに結びつけるためである。

また、患者さんとたわいのない会話をすることも、職員の楽しみでもある。

「台所のおと」幸田文(講談社文庫)をクリニックの本棚においておきます。

映画のおと

映画って本当にいいもんですね~

田端駅前クリニックでは、患者さんの時間を大切にし透析中の時間を、できるだけ有効にまた楽しく過ごしていただこうという目的で、VOD(ビデオ・オン・デマンド)で透析中に映画を楽しんでいただいたり、インターネットを利用していただいたり、お仕事ができる環境を用意してる。

これは、数ある透析施設の中でも当院が最初に手がけた事であると自負している。

その根底には、患者さんにとって透析は治療であると同時に、日常生活の一部であり、少しでも快適かつ有意義にこの時間を過ごしていただきたいという思いがある。

特にVODは比較的早く最新作が観れることもあって、患者さんにも好評のようである。

「いやぁ、映画って本当にいいもんですね~」・・・

しかし、最近のアメリカ映画の大半は、アクションと爆発の連続で、上映中ずっと爆音と大音量の音楽が鳴り続け、早い画面展開で緊張を増幅している。観客を高度の興奮状態にすることが、興行収入を上げることに最も効果的であると考えているように思われる。

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舟を編む

邦画はそれほど騒々しくないが、三浦しおんの原作を映画化した「舟を編む」は、明らかに趣が異なっていた。映画音楽は相当控えめである。

ストーリーには言及しないが、音楽の代わりに立ち現われてくるのが音そのものである。

松田龍平と宮崎あおい演じる夫婦が、二人で小さな食卓で食事をする。箸を並べるおと、そばをすするおと、こんにゃくをかんで飲み込むおとなど・・、たしかに、実生活は大げさな効果音や音楽ではなくこのような音とともにある。

ただ、控えめなはずのこれらの音が、少し前に出すぎて不自然になってしまったことは残念だ。食事の場面では、ゴクリ、ごくりとうるさいのである。自分が飲み込むおとは自分の耳に響いても、他人のそれはあまり聞こえないはずなのだが・・

しかし、最後に小さくなった(本当に小さいです。)八千草薫が、にこやかに、そして、心から発する 「ありがとう」 はいい。これほど価値のある 「ありがとう」 はしばし、聞いていないような気がするくらいだ。

すみません。映画を見た人しかわかりませんが・・・

音を削る大切さ

1996年に亡くなった作曲家の武満徹は「映画音楽 音を削る大切さ」というエッセイを残している。

彼は、映像には、映像でしか表現できない素晴らしい音、音楽があり、映画音楽がそれを殺してはいけない・・といったたぐいのことを言っている。

こういう話をハリウッドの監督や演出家にしても、「たくさん音楽が入ればはいるほど、お前のフィーも上がっていいじゃないか」と言って取り合わないのだそうだ。

ハリウッドらしいけれど、映画の本当のよさがわからないこんな映画人とは一緒に仕事はしたくない、と言いそうであるが・・

さにあらず、全く考え方の異なる人たちとのこんな協働作業を刺激的で楽しいと語っている。こういう闊達なやりとりと孤独な作曲の作業とのバランスをうまくとっているようである。

戦後アメリカの進駐軍からジャズを吸収し、独学で音楽を学んだ、そして、映画音楽や難解そうに聞こえる現代音楽の領域では、日本人では数少ない、世界に知られた作曲家武満徹、このしなやかさが魅力的な音楽を生む秘訣なのかもしれない。

ダイソンがやって来た日(後編)

(前回からの続き)ある夏の日のお話です

さてさて、田端駅前クリニックでサテンブルーの羽なし扇風機がもたらした、ほのぼのストーリーの続きです。

いつもは、言葉少なげであまりお話をされない男性の患者さん。父親程の年齢差があり、若いコンシェルジュにとっては少し近づきづらい印象があったようです。

扇風機の初お披露目となった日。

突如その患者さんが、すっくと立ち上がり扇風機に近づいて行かれました。

先ずはじっくり観察。

  ※元来、男性は新製品とか家電製品に興味があるのでしょうか。

先の男性職員と同様に、くるりくるりと視線を扇風機の前後に運び万遍なく更に観察。

  ※う〜ん、余程ご興味がおありのご様子。 

そして、細長く空いたサテンブルーの楕円形の真ん中に向けて、おもむろに。。。

す〜っと手を差し入れ。。。しばらく考え中。。。

  ※おぉ〜っ!!これは老若男女問わずの素直な衝動!

そして、その手を体の横に礼儀正しく戻し、背筋を伸ばして「気をつけ」の姿勢。もちろん視線はサテンブルーに釘付け。

そして再び、す〜っと爽やかな風の中心へと手を運ばれたのです。

  ※分かります、その気持ち

しばらくその行動を繰り返された後、ご納得の様子でお席に戻ろうとされた時、なんと!!コンシェと目が合ってしまったのです。

  ※なんだか、気まずい。。。(お互い様です)

その患者さんは、一瞬“はにかんだ”ような表情をされましたが、何事もなかったように涼しい表情で、(本当に涼しかったのなら嬉しいです)入室までのお時間を過ごされていらっしゃいました(^^)°°♥

木漏れ日

 

その時、コンシェは。。。

コンシェ達はこのお姿を、ほのぼのとした気持ちで見ていたようです。そして、この光景を見かけてから、この患者さんに対してとても親近感が湧いたとのこと。

その後この出来事に関して彼女達から特にコメントを聞く事はありませんが、多分これまで以上に、自然な笑顔で患者さんをお迎え出来る様になったことでしょう。

ハードがきっかけになり、ホスピタリティに良い影響を与えていると考えると、嬉しくなります。

 Non-Verbal Communicationの重要性

患者さんもコンシェ達も、扇風機に関してお互いに特別な会話をしたわけではありませんが、これも言葉を介さない大切なコミュニケーションNon-Verbal Communication)の一つなのだと感じました。

患者さんに少しでも快適に過ごして頂きたいという思いで設置した扇風機が、思いがけない形で効果を発揮! 患者さんに対するコンシェの心の壁が少しだけ低くなったのかもしれない。。。そんな気がしたエピソードでした。

 

そして今年の夏も、けなげなサテンブルーの渋い奴は、“物言わず”患者さんに爽やかな風を送り届けてくれたのでした。

トイプードル目線

 

ダイソンがやって来た日(前編)

猛暑を乗り切るために

 少々季節外れな話題ですが。。。

ある夏の日、当クリニックのコンシェルジュから「カフェエリアが暑い。。。」との訴え(当クリニックでは待合室を”カフェエリア”と呼んでいます)。

クリニックに足を運んで確認してみると。。。

「う〜ん、確かに暑いかも。。。」

透析中の患者さんの多くは寒さを訴えて来られる方が多いために、クリニック全体の室温は少し高め設定になっているのです。しかし、ここ数年の東京の夏は“亜熱帯”の様な連日の暑さ。せめてクリニックの扉を空けた瞬間、患者さんには「う〜ん、快適♥」という爽やかな気分になって頂きたい。とは言え、冷房を強くするわけにも行かず。。。

あれこれ思案。

大小さまざまな団扇(うちわ)をご用意するか。。。

なんだかんだ言ってもやっぱりエアコン強くするのが良いのでは。。。

いっその事コンシェが一生懸命扇いで差し上げたら気持ちが伝わるのではないか。。。

 

侃々諤々の結果。。。

 

結果、私たちの選択は、数年前より話題の扇風機を導入することに。

そう!羽がない、あの画期的なD社の扇風機(羽はないけど「扇風機」ふふっ(^^); )。

  ※筆者はD社の関係者ではありません。

ブラックにサテンブルーのタワー型ファン。シックでありながら爽やかな印象♥

  ※繰り返しますが、D社とは全く無関係の一般人です。

音がうるさいとの前評判でしたので少し心配しましたが、カフェエリア(待合室)程度の広さがあるからでしょうか、それほど気になりませんでした。

ダイソン 

 ※そう言えば、先日の「がっちりマンデー!!」に、創業者でありチーフエンジニアであるジェームス ダイソン氏が出演してました。

 

興味津々の職員

 

先ず反応したのが若い男性職員。

扇風機の周りをくるりくるり、興味深く観察。

「Dソンの扇風機を置いてみたの。良いでしょ〜」と自慢げに声をかけると、元々口数が少ない“彼”なのですが、寡黙に笑顔でひと言。

『凄いですね!』

おや?! ふむふむ。。。これは好感触

少しD社の力を借りて患者さんの行動をリサーチみようと考えたのです。『羽のない扇風機を前にすると、人はどのような行動を取るのだろう』完全に素朴な好奇心に火がついたのでした。

かくして、コンシェに「患者さんに『羽なし扇風機』のご意見を聞いてみて!」と依頼。

すると、ちょっぴりほのぼのとしたエピソードを聞く事が出来ました。

そのエピソードは次回お伝えします。

猫輪くぐりダイソン

  ※「ダイソン、猫が輪くぐりできる唯一の扇風機」より引用

海外の透析事情 中国の透析医療の真実

中国の透析医療の真実

 

中国に転勤中の透析機器メーカーのマネージャーの方と話をしていました。

 

はじめは上海の状況や、大気汚染の話、食品問題等、日本でもおなじみの中国の話題に。

 

日本でも知られている通り、とてつもないお金持ちの人がいる一方で、非常に貧しい人も多く、所得の格差が社会問題になっている中国。

 

そのうち、話題は次第に業界の話に移り、中国の透析医療の話題に。

驚いた事に、現在の中国では透析患者は急激に増加し、既に日本を追い抜く数になっているとのことです。

 

よく考えれば、人口の数が圧倒的に我が国とは違います。

当然と言えば当然で、透析患者数も多くて当たり前です。

 

一方気になったので、「どんな透析をしているのか?」と質問したところ、透析患者の急増で、さすがに制度が追いついていないようす。

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中国では、一般的に患者さんは月10回程度足らずの透析回数で、多くの患者さんが透析不足の状態だそうです。

(少なくてもマネージャーの知り得た限りでは)

 

それどころか、新聞等でも報道されている通り、中国では都心と地方の格差が激しく、

満足に透析を受けられない患者さんや、地方では未だにダイアライザーの再使用(リユース)をしているとの事です。

 

また多くの病院では、透析ベッドを詰め込むだけ詰め込み、機械的に透析の処理業務を行っているとの事でした。

 

療養環境も良くないようです。

 

これは国民性の違いなのか?と思いましたが、どうもそうばかりではないようです。

 

マネージャー曰く、実はその原因の一つは医療制度にあり、例えば医師の給料が非常に安い事を挙げていました。

 

医師の給料が安いので、当然モチベーションが上がらない、

そうなると極めて機械的に医療を行う、違う言い方をすれば作業として医療を行うといった傾向にあるとの事でした。

 

当然、看護師や技師も医師の態度に従っているために、あたかも工場の様だと言っていました。

 

 日本人で良かった

 

「うーん、やっぱりお金か???」

医は仁術なり、つまり医療はお金ではない、という思想は非常に良いものです。

素晴らしい事ですが未だ所得格差が揶揄される中国では、そうも言ってはいられないのでしょう。

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こう考えると、いろいろと問題はありますが日本の医療や

日本の透析医療は飛び抜けて良いわけではありませんが、

そこそこ良いのでは?と考えさせられます。

いけない、いけない、これで満足してはいけない。

現場を叱咤激励し、田端駅前クリニックが掲げたミッションに基

づき、ホスピタリティの向上を目指します。

田端にスコール!!その時。。。

40年前の夕立をご存知?!

確かに。。。当クリニックはダッシュすれば多少の雨はしのげる、駅から1分とかからない距離にある、名前の通り『駅前クリニック』。

しかし、昨今の熱帯雨林かと思われるようなスコールは、さすがに甘くはないのです。

高いビルが多くはないので、北から迫り来る暗雲をいち早く察知することはできるのですが、あれよあれよと言う間に夏の太陽の光を奪い、雷鳴と共に大粒の激しい雨を降らせていく。

個人的には、なんだか小学生の時の夏休みに感じた、鼻をつくホコリ臭さを思い出し、なんとなくウキウキしてしまうのです。

明らかに40年程前の夕立と違うのが少し淋しい感じもしますが。。。

(あっ!年がばれる!!)

 

田端にトトロ出現!!

さて、とある夏の夕方の出来事。

当クリニックきっての大柄な患者さん。のっしのっしと歩く姿。そのため少々近づき難い印象すらある。若いスタッフに至っては緊張してしまい、普段のナチュラルな笑顔がす〜っと消えてしまったり、「固い、固いよ!」って思うようなこわばった笑顔になってしまったり。。。

そんな患者さんが、いつも通り1日おきの透析にやって来る。もうそろそろ来院される時間。それは夕方より少し早い時間帯、突如、田端に猛烈なスコールが!!

丁度その時、クリニックの窓から雨の様子を眺めていたナースが、ふと窓際から離れプラプラ〜ッとクリニックの受付に来てコンシェにポツリとひと言。

『駅前でトトロが雨宿りしてるよ・・・♥』

トトロ①

 その時、コンシェルジュは。。。

なぬ!!いくら田端が田舎だからといって、まさか。。。

(田端の住民の皆さま、お許し下さい。悪意も大意もございません)

もちろんトトロがいるなんて誰も信じてはいないのですが、興味津々で窓際にダッシュ!

(もちろんバタバタと走って行った訳ではありません。あくまでも気持ちの表現です。)

すると『本当にトトロだ。いや。。。◯◯さんじゃ〜ん』

それと同時に一人のコンシェが慌てた様子で、ひと言。

『やだやだぁ〜。早く迎えに行かなきゃ!』

 

現場で育まれる力

後日談でこの話を聞いた時、『う〜ん♥うちのコンシェ、結構イケテルじゃん』と思ったのは私だけでしょうか。

「そのうち止むでしょう」とか「駅近だから大丈夫じゃない」ではなく、『早く迎えに行かなきゃ』っていう反応は、グッと来ました。

送迎サービスや介助サービスの提供をしていない当クリニックで社会人教育を受けたコンシェ達が発揮した今回の『ホスピタリティ』は、誰に教えられたものでもなく、現場で培われた感性なのです。

『患者さんの快適のために。。。』

これぞ正に現場力!!

 

ところで、田端のトトロは。。。

かくして田端のトトロはコンシェがお届けした傘をさし、大して濡れずに来院。いつもの様に無事に透析をスタートされました。

駅前からクリニックまで、たった1分足らずの短い距離。

その道中を想像すると、まるでバス停で猫バスを待つトトロと、コワゴワ傘を差し出した“さつき”、といったところでしょうか(^^)♥

ちょっと恐いかも。。。という一方的な印象を持っていた患者さんに、躊躇することなく、頭で考える前に行動したコンシェの成長を嬉しく感じつつ、この患者さんにとって田端のスコールが、ほんの少しでも心にグッと来る出来事であったのなら、それが何より一番嬉しい。。。そんな思いがこみ上げた、夏の夕下がりでした。

トトロ②

 

※文中、患者さんのことを「トトロ」とお呼びしておりますが、場合によっては大変失礼にあたることは十分理解致しております。しかし、それ以上に微笑ましい出来事でございましたので、当該患者さんはもとより全患者さんへの失礼は承知の上で、お名前を伏せさせて頂きながら掲載させて頂きました。

ヒートアイランド

秋の風

朝扉を開けると、さわやかな風に乗ってきんもくせいのあまい香りが・・今一度大きく息を吸い込む。

秋である。

秋きぬと めにはさやかにみえねども 風の音にぞおどろかれぬる

相手の名前がタイムリーに出てこなくなって困ることも多々あるこのごろだが、おそろしいもので、中学生のときにきびしい国語教師に叩き込まれた万葉集(だったかな?)は、すらすらと口をついてでてくる。記憶とはこんなものか。

ヒートアイランド

夕涼みの風

さて、今年は厳しい残暑もなく比較的過ごしよい夏であったが、8月は35℃近い厳しい暑さが続いた。東京では、沿岸部に高層ビルが立ち並び、夕暮れ時に海風が内陸部に届かなくなったといわれている。都内の夏は以前にもまして暑くなったようである。

もちろんそのせいではないだろうが、風鈴の音で涼を取り縁側で夕涼み、なんてのどかな光景はほとんど見かけない。

一方、高層ビルの合間を抜けるビル風は激しい。とても風鈴の風情ではない。

田端界隈の高層ビルは、駅前のアスカタワーだけであるが、高台のせいか、常に強風が吹いているような感がある。

 ヒートアイランド

ヒートアイランド化で日本の都市は亜熱帯気候のようになったといわれ、強風に加えスコールのような激しい雨が降ることが多くなった。

こうなると傘をさしていても2・3分も歩けば足元はずぶ濡れだ。

スコールに見舞われるたびに、当院がすぐ駅前でよかったとつくづく思う。

患者さんも職員も、ずぶ濡れにならないうちに何とか駅構内やクリニックの屋内にたどり着けることを願っている。

 

クリニックの扉

好みの扉

 

一般的にクリニックの扉は無粋なものだ。

好みのお店、その扉を開ける瞬間を思い起こしてみよう。

 

縄のれんをくぐり、引き戸を勢いよくあける。

「ガラガラガラ」という音とともに、出汁のにおいと「らっしゃーい」という威勢のよい声が迎えてくれる。

やれやれというほっとした気持ちになる。

 

喫茶店の重い木の扉を押し開ける。(こんな喫茶店も少なくなったが)

「カラン・カラン」というチロリアンベル(勝手に命名)の音、そして、店のふれこみでは「香高い」コーヒーの香りを、鼻の穴を目いっぱい開けて吸い込む、至福の瞬間。

 クリニックの扉

 

さて、当クリニックの扉は、実は仙人好みである。(残念ながら他のスタッフは何とも思っていないようだが)

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オレンジ色の刺激的な扉を押し開けると、ウィンドベルのような何とも心地よい音色が迎えてくれるのである。これで患者さんの気持ちも少しは和らいでくれるのではないかと・・・

残念ながら食欲をそそる匂いはないが、目を上げると、コンシェの笑顔が迎えてくれる。

Coffee Shopのホスピタリティ

あいらぶスタバ♥

 

ここ数年、とあるコーヒーショップをほぼ毎朝愛用させて頂いている。ミッションを掲げホスピタリティを打ち出している有名コーヒーショップ。毎朝利用し続けるには決して安価とは言えないが、味もさることながら、その心地良さからついつい足を運んでしまう。

いつもの笑顔。そして「いつもので良いですか」と、通い続けて半年にも満たない頃から声を掛けてもらえる。私の上司にいたっては「〇〇さんは仕事が趣味だから!」なんてジョークまじりの会話が飛び交う程。

コーヒーを買うだけの数分間に交わされる会話としては少々行き過ぎの様にも感じるが、実際にはそれほど違和感はない。

それは、その会話の中に自然な笑顔と『このひと時とコーヒーを楽しんでもらいたい』という心が込められているからでしょうか。

あいらぶスタバ

ベテラン職員“ミー”登場!!

 

さて、久しぶりに上司と共にそのコーヒーショップに出向いた時のお話。

その日は座席が満席の状態。既に空になったカップを並べてひたすら会話なくスマホをいじっている数名の学生集団、明らかに時間つぶしだけのお客さんもいる。後からどんどん来客は増えて来る。それにも関わらず誰も席を立つ気配はない。そのうち席が無いためトレーを手に立ち往生する人達も目立ち始めた。

そんな中、ベテラン店員の”ミー(私が付けたあだ名)”が出動!!

まずミーは、声を掛けながら店内をラウンド。

「お待ちのお客様がいらっしゃいます。お食事がお済みの方はお席をお譲り下さい」

一回りした後、誰も動く様子が無いことを確認すると、長居していた学生グループのテーブルに近づき、凛と声を掛けた。もちろん笑顔で。

「宜しければ、お待ちのお客様にお席をお譲り頂けますか」

渋々ながらも彼らは席を立った。そしてトレーを手にした人達は無事席に着くことができ、コーヒーの味と店の雰囲気を堪能し始めた。

さて、何故もめる事無く事が進んだのか。

きっとミーが毅然と臆することなく終始笑顔で対応していた事も大きな理由でしょう。

しかし、それ以上にスタッフの『心』が大きく影響しているように感じたのです。

『多くのお客様に気持ちよく楽しんで頂きたい』という想いが現場のスタッフに浸透し、かつその想いを貫き実践できているからだと想像するのです。

(※加えて顧客側にも日本人の『譲り合い精神』が脈々と受け継がれていることを心から願います。)

 

ホスピタリティって。。。

 

それぞれの機能は異なりますが、私たちに求められているホスピタリティは、きっとコーヒーショップと本質的には同じなのだろうと思うのです。

「人の嫌がることこそ率先してやりなさい」と指導することも重要。

しかし「ホスピタリティを追求して行動していたら、人の嫌がることも自然と行動できるようになっていた」という環境が素敵だとも思うのです。

『患者さんの快適のために』

 

大いに異業種のホスピタリティを学ぼう!
ミーの行動を思い出しながら考えてみたりして。。。当然自分の胸にも手を当てながら。

 

真剣に考えてみましょう!!!!!!

このクリニックのコンセプトは、徹底した患者さん指向。

「言うのは易く行うは難し」ということわざの通り、簡単な事ではありません。

しかし、私たちは挫折を繰り返しながらも前を向いて考える、行動を変える、そして望む結果を得る、これがこのクリニックの考え方です。

実は、大声では言えませんが、このクリニックのコンセプトの中に、サードプレイスという考え方があります。

皆さん既にご存知の方もいると思います。

この「サードプレイス」、実はかの有名なスターバックスのコンセプトです。

スターバックスでは、自宅が人と人がふれあう第一の場(ファーストプレイス)。

 

職場を第二の場(セカンドプレイス)とするならば、カフェ(スターバックス)を第三の場所(サードプレイス)と重要な時間と機会の場と位置づけているとのことです。

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よく考えてみると、週に3回4時間以上もクリニックで過ごす患者さんにとってはクリニックこそが大事な第三の場所(サードプレイス)であるはずです。

そこで過ごす4時間が生きた意味のある時間になるか、苦痛や絶望、そして諦めの時間になるかでは、患者さんの人生に大きな違いが生まれるのではないでしょうか。

 そうです。私たちが考えている事とスターバックスが考えている事が大変似ていましたので、使わせていただくことにしました。

カミングアウトします。真似させていただきました。

 

特にこのクリニックでは、仕事を持たれているビジネスマンの方が多くいらっしゃいます。

その方々が、元気を取り戻し、また仕事に家庭に充実した時間を使っていただけるよう、お手伝いが出来ればどんなに素敵な事でしょう。

患者さんは、平均月に50時間以上クリニックに滞在しています。

この時間は人生で貴重な時間になるはずです。

この時間という限られた、しかし誰にも平等に供される時間という資源を患者さんに有効にそして心地よく使っていただく事が出来ればそれが私たちの望みです。

 私たちは、異業種であれ優れた考え方であれば躊躇無く取り入れる姿勢を貫こうと考えています。

(物真似を正当化するわけではありませんが)

 

重要なのは、それが患者さんのためになるかどうかが、全ての判断基準です。

医療は万能ではありません。

だから、私たちが学び続ける事、行動を起こす事、変革をもたらす事、が重要だと考えています。

 

サードプレイスを掲げている私たち職員がどのような考えで日々過ごしているのか?少しずつ発信をして行きたいと思います。

出来るだけ飾らず、率直に書き綴りたいと思います。