田端駅前クリニックスタッフのブログ

仙人の入院記 3の巻

手術台にのせられて、両手に華の夢ごごちで眠りについたところまではよかったが・・

夢なら覚めないでほしいものだが、現実はそんなに甘くはない

そもそも手術なのだから当たり前である。

どうやら意識が戻ってきたようで、腹部に鈍痛を感じる。何時間眠っているのだろうか、あたりはスッポリと闇に包まれている。もう夜のようだ。
おそらく長時間寝返りもうたず同じ姿勢で寝続けていたせいであろう、体が鉄の塊のように固まっている。腰がベッドにめり込んでいるようで、こちらも鈍痛がする。

呻き声をあげるほどではないが不快である。
しばらくすると、夜勤の看護師が見回りにきた。
どうやら、知らぬまに酸素吸入器や心電計、血栓防止用のストッキングなどを装着していたようで、それらを外していく。血栓防止用のストッキングは、電気仕掛けで空気を送り込んで足を圧迫、弛緩するようになっているらしい。

介助をしてもらいながら、固まった体をまげやっとベッドの上に起き上がる。
腹腔鏡は侵襲の少ない手術とはいえ、ブズッ、ブズッ、ブズッ、とお腹に3つの穴を開けているので、さすがに傷口が痛む。点滴台を転がしてトイレにいくのだが、痛みのため背中を丸め、のそりのそりと恐る恐る歩を進める。なんともはや情けない格好であるが、いたしかたない。

なんとか用を足してベッドに横たわり、再び色々な器具を装着する。
十分に寝た上にお腹と腰が痛むので、ウトウトとするのが関の山だ。お腹の痛みは我慢できるが腰の鈍痛はなかなか厳しい。

 

金属製の窓格子で切り取られた空が白んでくる。
夜が明けるようである。

自由に身動きできないベッドのうえで、膝を立てたり、お腹を気にしながら体位ををかえていると、看護師さんがやってきた。今日の担当看護師は男性である。背はそれほど高くはないが、体育会系風のがっしりした体格で、言葉もはっきりとし動作もテキパキとしている。
この看護師さん、隣の爺さんにどう適応するのか、面白がって聞いていると・・

相手に抵抗する隙を与えないスピードで、・・しますよ。といって行動に移していく。
爺さんは反抗することもできず、やけに従順である。
時に反抗を試みるが、聞き入れる風でも、やり込める風でもなく、取り合わず、どんどんことを勧めていくのである。

看護師は、ものがなんだったか忘れたが、爺さんが食べ物(果物だったか)を隠しもっているのを発見して、「こんなところに隠していたらダメじゃないですか、腐りかけていますよ」といって取り上げてしまう。
これにも反抗できず、従順である。
こういうタイプに弱いらしい

前回登場の宇宙人のような新人看護師は、長続きするだろうか、どのように成長するだろうか?

 

 

主治医の回診である。
手術の状況説明をうけて、特に問題はないとのこと。やれやれである。
退院はいつにされますか?と聞かれ、即座に本日と答える。
とにかくこの狭いベッドのうえで、身動きが取れない上に、腰痛と戦うのは勘弁してほしい。
もう一泊する人が多いようであるが、特に積極的な治療があるわけでもなく、なんとなく不安というだけで、病院にいる理由は見当たらない。

主治医も笑顔で、わかりました、とこたえ、さらに退院後の注意事項などを説明してくれる。
非常に好感が持てる。

 

昼食を済ませ、退院である。
スタッフステーションに声をかけ、会計へ・・
ところが、土曜日でお昼を過ぎてしまったため、会計ができないとのこと。
お支払いは、次の外来の時にということ、このまま来なかったら、未収金になるがどうするんだろうと心配になるが、知ったこっちゃない。

タクシーを呼んで、やっと我が家(とはいえ仮住まいであるが)へ帰ってくる。

 

まずは音楽をかけ、コーヒーを淹れる。
ほっとする。
そして布団を敷いて横になる。
狭い部屋ではあるが、なんといっても伸びのびと横になれるところがよい。

透析患者さんの過ごす4時間、5時間、我が家にいるようにとはいかないが、アメニティはよくしなくてはいけないとつくづく実感したものであった。

たったの3日であるが、仙人の入院記もこれにておしまいである。

次からはまた、徒然なるままに

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